経営統合後も好調!?「オイシックス・ラ・大地」2019年3月期決算
オイシックスは2017年の10月に「大地を守る会」と経営統合しオイシックス大地が生まれ、、さらに翌年の10月に「らでぃっしゅぼーや」の株式をNTTドコモより100%譲渡し、経営統合されオイシックス・ラ・大地が生まれました。らでぃっしゅぼーやをNTTドコモが買収した際は69億円で、今回の売却は10億円程度となっております。これだけみるとすごいお買い得感に見えますが、当時より業績が伸びておらず、NTTドコモとしても手放さないといけない状態だったのかな・・と考えられます。
先ほども話しましたが、大地を守る会とらでぃっしゅぼーやは業績が伸びてなかったため、オイシックスと経営統合することはとても良さそうに見えます。(勝手なイメージですけど同業界だと一番イケテそうだったので)
実際に統合してどういうシナジーがうまれたのか、などを踏まえてみて行きたいと思います。
ハイライト
第二四半期なので、上半期の実績になっています。
オイシックス単体の売上のYoYは20%,限界利益に関しては約40%の伸びと好調です。
大地を守る会の売上のYoYは-1%, 限界利益は-11%とあまり調子はよくありません。
らでぃっしゅぼーやの売上のYoYは書いてありませんが、2018年の売上が190億なので、単純に半分にすると前年度は95億なのでYoYは4%。限界利益は2018年の変動費がわからなかったのでわからず・・。売上だけでみると、2015年の208億よりは低くなりそうなので、成長はしてなさそうです。
全体でみると好調ではあると思います。売上だけ見ると、1年たっただけではまだ「大地を守る会」とのシナジーは見えてなさそうです。
ビジネスモデル
基本的には経営統合された3社は「食の宅配」がメインになっております。
野菜だけの印象に見えますが、肉や魚なども配送してるようです。
また、コストを下げるために生産者との直接取引を行なっているだけでなく、競合となりえるスーパーの配送手伝い「とくし丸」もグイグイ伸びています。多分自分たちの事業と被らないと考えているのでしょうね。なんとなくそれは思います。それより、流通のノウハウを活かしてるあたりがすごいです。
業界の紹介
2014年の資料ですが、この時の自然食3つが統合されるとは思わなかったろうに・・・。
今のオイシックスは自然食というより、時短で料理ができるミールキットを中心に伸ばしていっているので、直近はそちらで勝負していくとは思っています。
市場規模
生協が圧倒的ですね・・。もうこうみると、生協の位置をどれだけ奪えるかがすごく重要なんじゃないかと思えるほどです。
生協の分析は後日またしたいところですが、らでぃっしゅぼーやや大地を守る会で狙ってる層と被りそうなあたりなのも狙ってるのかなと。
方程式
そのままでわかりやすいですね。LTVを指標としつつ、KPIを徹底しててる風土は見習いたいです。
余談ですが、私がオイシックスの資料が好きな理由の一つとして、資料が見やすいことです。
売上の方程式や、KPIなどしっかりと知りたい情報があるので嬉しいです。
競合
生協という最強のボスはいますが、最近ですと株式会社農業総合研究所が行なっている「農家の直売所」が生産者目線でいうと競合になりえるのかなとは思っています。
終わりに
今回は初めて決算の分析してみました。
もっとビジネスモデルや事業については細かく紹介しても良さそうだなと思いつつ次回頑張ります。
有価証券報告書で何を知れるのか
以前、決算短信と有価証券報告書の違いについてざっくりと書きました。
今回はオイシックスの事例を元に有価証券報告書を深掘りして見たいと思います。
構成
一部と二部の構成になっており、一部では主な経営指標の推移や事業状況などが書かれています。二部では書かれている所をあまり見たことがないのでここでは割合します。
私なりにここだけみとけばいいのかなと思うところを紹介しておきたいと思います。
経営指標の推移
ここはまず最初に見るべき所です。
会社がどれくらい成長しているのか、キャッシュフロー(現金の流れ)はどうなっているのかなどざっくり確認することで会社の状況を把握します。
後日また紹介しますが、私は以下をさっと見てます。 - 売上の成長率 - 利益率 - 税引き前利益 - フリーキャッシュフロー
事業状況
次に、事業状況を把握します。
決算のプレゼン資料が別途あるならそちらのほうがビジュアル的に詳しかったりしますが、こちらのほうが細かく文字に起こされてるのでしっかり読んで、現在の事業がなぜ好調なのか、不調なのかを確認しましょう。不調そうに見えても実際は投資のための下準備でもあったりするので。
ここに書いてないことも多いですが、プロダクトメインであれば
- 市場のチェック
- 1ユーザーあたりの課金額
- 1ユーザーあたりの課金率
- 1ユーザーあたりの獲得コスト
- 解約率
が下がってるのかどうなってるのかを確認すべきかなと思っております。(こちらも長くなるので後日紹介します)
さらにエンジニアならここを見るべき
エンジニア視点ですと、さらに上記以外に
- プロダクトをしっかり育てているか(営業頼りばかりにしてないか)
- 役員人にエンジニアはいるか
- 技術に投資しているか
などを確認してます。エンジニアの方は確認していることが多いとは思いますが、その場合は経営指標なども見てその会社の状況を確認しましょう。
終わりに
次回は、経営指標の見るべきところについて深掘りしたいと思います。
決算短信と有価証券報告書の違い
上場している会社のHPなどには、決算短信と有価証券報告書がほとんどの場合公開されています。
どちらも財務3表はのっていますが、有価証券報告書の方が内容が濃い割に開示が少し遅めです。なら、何が違うのだろう?と気になりまとめて見ました。
決算短信とは
まずはWikipediaで確認してみると
決算短信は、上場会社の貸借対照表・損益計算書をはじめとした決算情報が最も早く開示される資料であり、決算情報が投資判断上最も重要な会社情報の一つとされていることから、投資者・マスメディアからの注目度が高い。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1
決算情報が最も早く開示される資料と書かれており、ここらへんがキモになってきます。
有価証券報告書とは
こちらもWikipediaで確認すると
有価証券報告書(ゆうかしょうけんほうこくしょ)とは、金融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料である。略して有報(ゆうほう)と呼ばれることもある。本項では朝陽会が発行し、全国官報販売組合が発売する有価証券報告書総覧についても記述する。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E4%BE%A1%E8%A8%BC%E5%88%B8%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8
「金融商品取引法で規定されている」と書かれているので、決算短信とは異なり法律的に提出する必要がある書類のようです。
色々な角度で比較してみる
これだけだとなかなかわかりにくいので、いくつかの情報をまとめて比べて見ました。
決算短信 | 有価証券報告書 | |
---|---|---|
内容 | 確定版 | 速報版 |
濃さ | 濃厚 | 普通 |
開示時期 | 決算日後3ヶ月以内 | 決算日後45日以内 |
ルール | 金融商品取引法 | 取引所のルール |
主な目的 | 投資家向けの確定情報 | 投資家向けの速報 |
大きな違いとしては確定か速報かの違いになっています。
私は決算説明資料がある場合、決算短信とだけ合わせて読んでいるので、もう少し有報のほうも読んでもいいかなと最近思ってます。
終わりに
厳密な違いがわかっていなかった、決算短信と有価証券報告書について調べました。
次はもう少し有価証券報告書の詳細について調べて見たいと思います。
決算書の手に入れ方
以前、決算とは何かについてお話ししました。
今回は、実際に決算書を分析する前に手に入れ方についてまとめておきたいと思います。
決算の場所の話とIRの話
先に言い訳なのですが(笑)、決算書の手に入れ方は様々あり、私自身も全ての方法で手に入れたことはありません。なので、今回は私が分析する上での手に入れ方についてお伝えします。
決算情報は基本的に自社のホームページに載せていることがほとんどです。
実際に「オイシックス・ラ・大地」の決算書を見つけて見ましょう。
会社名 x IRでググる
IRとはInvestor Relationsの略で、投資家向けの広報活動のことです。
会社名とIRの二つのキーワードでググればほぼ欲しい情報の場所にいきつきます。
IRの内容について
基本的には、財務3表や株主資本等変動計算書含まれている「決算短信」と「有価証券報告書」、株主総会などで説明するための「決算説明資料」などがあります。「決算説明資料(IR資料)」については会社によってはないのですが、プレゼン資料ですのでビジュアル的にも見やすく、補足がわかりやすくされているので、初心者の私にとってはないと厳しい資料です。笑
実際にチラ見してみよう
決算短信
財務3表(BS/PL/CF)だったり、去年からの推移などが簡単に書かれています。
有価証券報告書
こちらもは財務3表(BS/PL/CF)などに加えて、事業についてだったり、細かく説明されています。
決算説明資料がない場合はこちらを参照します。
決算資料
プレゼン資料なので見やすいですね。
注意すべき点としては、ごまかされやすいので、あくまでも参考程度にしておきましょう。
終わりに
今回は、決算書の手に入れ方についてまとめてみました。
他にもたくさん手に入れ方はあるのでそちらはまた別の機会にまとめようかと思います。
決算とは何か?なぜするのか?
私が会社に属し、コードばかり書いてたエンジニアの時は、会社の決算なんか全く興味ありませんでした。
ここ数年で、フリーランスになり、スタートアップの会社の経営に参画し・・・とだんだんと数字を見るようになり、今一度自分なりに決算とは何か?なぜするのかをまとめて見たいと思います。
決算とは?
決算とは、個人や会社が1年間の収入・支出をまとめた資料みたいなものです。上場している株式会社だと基本的に財務3表(BS/PL/CF)に株主資本等変動計算書が主に公開されています。前回財務3表について書いたので軽く目を通しておくと良いです。
会社の決算時期は実はいつでも始めてから良くて、四半期(3ヶ月)と言われる単位で決算の報告を行なっています。
なぜするのか?
決算の報告は国から義務付けられているからと言われてしまえばそれで終わってしまうのですが、フリーランス・会社の経営をやってきた経験から細かい理由を述べると
納税するための税金を正しく計算するため
フリーランスをやってきた方は当たり前と思う方が多くいると思います。ただ、ほとんどの方はサラリーマンで、自分たちの税金がどういう計算でどう申告されているか知らない方が多いです。フリーランス・法人共に経費や収入などを計算し、自分たちはこれだけ税金を払います!という申告をしなくてはいけないのです。会社の期間付きの目標みたいなもの
個人でも目標がないとメリハリがつきませんよね?会社も同じで、成果を出すためには目標が必要で、期間による縛りが絶対いると考えています。1年という長いようで短い期間を全力で走るためにはとても有効です。株主への説明責任 株を買っている方で、株主説明会への参加をしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?株主は会社に投資してくれている大切なパートナーですので、会社として説明責任があります。
終わりに
あまり関わりない決算かと思いがちかもしれませんが、家計簿だって立派な決算になりえますし、とても身近な存在です。あまり会社の決算に興味がなかった方も、自分ちの家計簿を見るような感じで見て見ると面白いですよ。
エンジニアが決算書を読むための第一歩め。BS/PL/CFとは何か
以前、エンジニアが決算書を読む理由について書きましたが、今回は実際に決算書の説明をしていきたいと思います。
決算書は細部まで読まなくても全体像は理解できる
決算書は財務3表と呼ばれ、貸借対照表、損益計算書とキャッシュフロー計算書で構成されています。
また、英語読みのほうでよく表されているのでこちらは覚えておきましょう。
- 貸借対照表 = Balance Sheet(BS,B/S)
- 損益計算書 = Profit and Loss statement(PL,P/L)
- キャッシュフロー計算書 = Cash Flow statement(CF,C/F)
これらの財務3表は細部まで読む必要がなく、ざっくりと読めるようになりさえすば大枠は捉えられます。
私もまだ全てのパターンを網羅しているわけではありませんが、ざっとみるだけで会社のある程度の状況が理解できるくらいにはなった・・かと思います。
今回は簡単な説明しか書きませんので、次回は事例を踏まえて徐々に細かい項目なども説明していきます。
貸借対照表(BS)とは?
すでに画像に書いてある通り、貸借対照表とは決算日時点の企業の財政状況を示したものです。 大きく分けて、
損益計算書(P/L)とは?
一定の期間の中で、売上や費用などの企業の経営状況をチェックできます。 こちらは見たことない人でも、以下のような単語はある程度しっているのではないでしょうか? *オイシックス・ラ・大地株式会社 2019 年3月期 第2四半期決算短信より
ここはよくお化粧できるなんて言われるほど誤魔化せる箇所ですね。
キャッシュフロー計算書(C/F)とは?
名前の通り、企業のキャッシュ(現金)の流れのことを言います。
ここでは、主に
の三つの項目が存在し、PLとは異なり、実際の現金の流れを書くので誤魔化しが効きづらい部分です。
逆に言えばここもしっかり見ておくことで、誤魔化してないかなど確認できます。最近のRIZAPの件でもここを見ておくことは重要でした。
終わりに
かなり簡単に書きましたが、次回はオイシックスの決算書をベースにもう少し細かく見ていきたいと思います。
エンジニアは決算書を読めるようになった方がいい理由
初めまして!とあるベンチャーで取締役/CTOをしながら、決算分析などを行なっているいっきです。
取締役自体は最近就任したばかりで、それまでは決算などあんまり関係なさそうなエンジニアでしたが、そんな私が決算を読み始めた背景や理由などを書いていきたいと思います。
決算を読み始めた背景
そもそもなぜ決算を読み始めたのかというますと、元々エンジニアではありますが、イケてる新しいサービスだったり、グロースなどに興味がありました。周りの知り合いには「こんな面白いサービスがあるんだよ!」とか自分たちで何か作りたい時に参考にしたりはしてたんですが、年齢を重ねてきてビジネス側や経営者の人たちを話す機会が増えてきた時によく言われる
- その市場伸びてるの?
- 売上はどうなの?
- 今後その会社はどうなると思う?
などなど、表面上のイケそうなサービスを見てただけの私には全然返せない話ばかりが増えてきてヤバイなと思い始めたのがきっかけです。
決算を読んだ方が理由
タイトルではでかいこと言ってますが、まだ9ヶ月程度しか読み続けてない初心者です。ただ、その中で自分が読んできてとてもメリットあるな、と思うことを踏まえて理由を書きたいと思います。
転職活動において、本当に良い会社を見極められる(やすい?)
私自身はまだ実践はしていないことなのですが、誰かの相談する際に使えると思ったことです。
転職する際には、色々見ているかと思いますが以下のようなことを見ているのかなと思います。
- 年収
- 会社の事業/将来
- 会社のブランド
などを見ているかと思います。
そのなかで、会社の事業/将来についてあなたはどれだけ言えるでしょうか?売上や事業内容は言える方は多いと思いますが、流動比率や固定資産の割合、キャッシュフロー周りをどれだけ言えるでしょうか。最近起きたRIZAP事件などをみてると、のれん代の考え方も必要です。こうした知識があると
会社のブランディングに惑わされない知識 がつくので、簡単に騙されなくなりますね。
株の投資先を見極めやすい
株の投資の話になると、決算の話ばかりだけではないんですが、会社の健康状態がわかるので非常に有用です。
数字に強くなる(抵抗がなくなる?)
様々な決算資料を目を通しているといやでも数字をみるため、抵抗がなくなります。
私の持論でありますが、サービス志向のエンジニアには数字に強いことは必須の条件であると思っていて、グロースするための数字だけではなく、会社や市場の数字を把握することでより良いエンジニアになれると信じています。
突然の取締役就任も対応できる!!!!
少し珍しいケースかもしれませんが、人生いつ何が起きるかわかりません。
取締役になると自社の決算資料に目を通す必要が必然的にあるため、必須のスキルになります。(全員というわけではないすが・・)
終わりに
まだまだメリットなどはあり、逆にデメリットがないくらいです。
エンジニアの方々は技術的なスキルを磨くだけでなく、ビジネス入門の一歩めとしてやってみるのをお勧めします。